【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤


寝ていた耳に微かに聞こえた鍵を開ける音で目を覚ました。


ふと見た時計の針は2時30分を指している。


こんな時間まで先輩といたのか…
こんな事で彼の帰りを知る私は彼と随分距離ができてしまった。




「きゃははっ 柾樹君ちょーかわいいっ」


ゴロンと寝返りを打って重い瞼を閉じて再び寝ようとした時、聞こえてきたのは女の人の甲高い声。



………柾樹の部屋からだ。



え…

一瞬にして頭が真っ白になる。

男の人の声も聞こえる…けど何を言っているかは聞きとれない。


でも楽しそうな笑い声が聞こえてくる。



なんで…?こんな時間に女の子連れ込んで何してるの!?


彼女でも何でもない私はそう思うだけで何も言えない。



…この部屋の壁が薄いことを心底呪った。



やけに響く甲高い声を掻き消す様に、聞きたくもないCDをかけて大音量で流した私は布団にくるまりぎゅうっと目を瞑る。


聞きたくない。

…聞きたくないないの。



こんな気持ちなのに流れるCDは美菜から借りたノリのいいアップテンポな曲。


私とは正反対のその曲にポツンと置いて行かれたような感覚に陥り、余計に胸が締め付けられた。


キキタクナイ。

ソンナワライゴエ…



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