【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤
しばらくして柾樹が私の部屋に来た。
「…ご飯できてるよ?」
電話じゃ普通にできても、実際に柾樹の顔を見ると戸惑ってしまう…。
「わりーないつも」
だけど彼がそんな事に気付くはずもなく、部屋に上がった柾樹についてリビングに行く。
なんでこんなコトになっちゃったのかな…
数日前までは普通にしていたはずなのにそれができない。
「…」
「…」
無言が続く。
リビングには私の声でも柾樹の声でもない、TVのお天気お姉さんの陽気な声だけが響いてた。
本当は昨日の事聞きたいけれど聞けない…
胸がもやもやする。
今の私は上手く聞きだせる術を持っていない。
たとえ聞けたとしてもその事実を受け止める余裕がない。
頭で考えて躊躇う、を繰り返す。
「あのさ…」
沈黙を破ったのは柾樹の方だった。
「…何?」
真剣な柾樹の顔に聞き入れる準備が出来ていない私は、ただ胸がざわめきだすだけだった。
「俺…しばらく学校先行くから」