【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤


本当は用事なんてない。
真っ赤な嘘。


あれ以上柾樹と一緒にいたら泣いてしまうのが目に見えていたから。
泣いてもどうにもならない事を私は知っている。



まだ誰もいない校舎。
ふと思い出したのは屋上に朝井さんがいた事。




だけど屋上には誰も居なかった。




「ふぅぅっ…」


我慢していた物が溢れだすかのように涙が流れる。



…避けられた…の?
あんなの嘘だよね…?
柾樹用事なんて……ないよね?


堰を切ったかのように溢れ流れる涙は止まらない。


「う〜…」




「おっはーよー!平山ちゃんらしき人が見えたもんだからつい走ってきちゃったよ〜」


「…あ…さい…さん…?」


いきなり開いたドア。
勢い余ったのか全開に開いたドアは壁に当たり大きな音がなる。


急に現れた朝井さんに泣いている所なんて見られたくないから、上を向いて必死で涙を隠した。


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