【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤
「言っちゃったんだ?朝井さん…」
「うん…それで今日柾樹に謝ったの。そしたら“とりあえずわかったから今日は先に学校行ってて”って冷たく言われて…」
彩音は泣きながら俯いてしまった。
「…そっか…柾樹君の態度はないわね…でもね?柾樹君が全部悪いわけじゃないのよ?」
泣き腫らした彩音に氷をタオルに包んで手渡した。
「……」
無言のままそれを受け取ってテーブルに敷いて顔を突っ伏す彩音は体が小刻みに震えてた。
「もしも逆だったらどう?柾樹君は何かに悩んでいる。それを自分は知らないのに偶然とはいえ他の女の子に相談してた。……どう?嫌でしょ?」
「嫌」
泣いてた割にそこだけハッキリ、キッパリ言い放つ彩音。
…なんか似てるわ。あんたたち。
決して、笑える状況じゃないのに笑みが漏れた。
「柾樹君は朝井さんに嫉妬してるんだと思うわよ。今彩音がするべき事は冷たかろうが何だろうが話し合うきっかけを作る事でしょう?」
ツヤツヤの彩音の髪を撫でれば“ん…”小さく頷いた。