【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤

「冗談だって!おかえり。元気だったか?」


お兄ちゃんは私の頭を撫でながら言う。久々のお兄ちゃんの優しい言葉を聞いた私は涙目になった。



「何泣いてんだよ」


お兄ちゃんは撫でていた手を止めて顔をのぞき込んでくる。



「…なんでもない。…久々に会ったから」


お兄ちゃんが頭を撫でた手が柾樹に似ていたから。
……柾樹を思い出してしまった。


まだ私はこんなにも柾樹でいっぱいだ。



「ほら、涙拭いて。久々に帰ってきたのに泣き顔でぐしゃぐしゃになってるぞ」


お兄ちゃんは服の袖で私の涙を拭う。


ちょっと乱暴だけどぶっきらぼうなお兄ちゃんの裾が鼻に当たって痛い。



「…ありがと…」


玄関先で泣きじゃくる私はお母さんとお兄ちゃんに少し変な目で見られてたに違いない。


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