【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤
「もういいんだよ。翼も苦しかったんでしょ?翼だけが悪いんじゃないよ。きっと私も悪かったの」
お兄ちゃんが私の手をそっと放した。
「…今の高校に行った事も後悔してない。むしろ感謝してるくらいだよ。翼のお陰で今の高校の人達とも出逢えた。だからもう翼は私に負い目なんて感じないで自由に生きて」
私は笑顔で告げて喫茶店を出た。
「…っ!本当にごめん!…今までありがとう」
店を出る間際、翼がそう言ったのが聞こえた。
最後に視線を上げれば翼と合う視線。
眉尻を下げて笑う翼はあの日よりも背が高くなった気がした。
幼さが抜けた翼だったけれど、やっぱり翼だった。
……2年前と変わらない。