【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤
「ずっと好きで、なかなかうまくはいかなかったけど、やっと両想いになれたの」
当時を思い出しているのか、視線を宙に向け話す彩音に、その表情に“あぁ、本当に好きだったんだ”と感じれた。
纏う空気が柔らかいから。
「でもある日から彼…ツバサは変わってしまって…」
彩音はそこまで言って、私の握っていた手をぎゅうっと握りしめた。
その手は心なしか震えていた…
「…私、暴力を受けるように、なったの…」
「…………」
頭が真っ白になった。
言葉が出ない。
いわゆるDVってやつ…よね?
「だから私辛くって…翼から逃げるようにここに引っ越してきたの…」
そこまで言った彩音は自傷気味に笑う。
「…そう、だったんだ…」
私の口からやっと出た言葉はそれだけだった。