【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤
「それからかな?私の中では恋は辛いものなの」
…なんでこんなに胸が苦しいんだろうか。
「だから、本当は恋なんてしたくなかったの」
彩音から発せられる恋という言葉は同じ女子高生が使うそれとは随分と響きが違う。
暗く、悲しく重たいイメージ。
「…するつもりなんてなかったのに、気づけば柾樹に恋してた」
…恋心をコントロールできる人なんていない。
恋をするつもりのない人だって、気付けば恋に落ちてたってよく言うでしょう?
だって恋は“落ちる”ものなのだから。
「本当は辛い記憶より楽しい記憶の方が多かったはずなのにね…?」
そう言って彩音は力なく笑った…
私は何も言わずにただ、そんな、告白をする彩音の話を聞いていた。