【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤
「私実家に帰って、お兄ちゃんに翼に会わせられたの。翼は私に謝ってくれた。私は翼から逃げ出したのに、翼はまだ私に縛られたままだったの…
だから、ちゃんとお別れしてきたの…」
「彩音…優しいお兄さんだね」
一気に言い切った彩音にそう言えば“ん”って頷いて少し照れた表情を見せた。
…仲いいんだね?
たったそれだけでわかる、彩音との兄弟愛。
「私…今も逃げてるんだよね?」
“柾樹から”
「ちゃんと向き合わなきゃダメだよね…?翼みたいに縛りつけてちゃダメだよね?」
ぎゅうっと握る手からは震えはもう伝わっては来なくって、“彩音はもう決心してる”そう思った。
「……」
「私…実家に帰って本当に良かったって思うの。翼の事もだけど、翼と会えて、翼に教えられた気がするの」
“向き合う事の大切さを”
そこまで話した彩音はどこか、清々しい表情で、この前までの弱々しい彩音の姿はなかった。