【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤
「なら…別れたワケじゃないんだね…」
え?朝井さん、何言ってんの…?
「いや、別れたのと…一緒じゃないですか…」
柾樹の事を思い出して胸がズキっと痛む。
「彩音…」
「えっ…?」
いきなり名前を呼ばれて朝井さんに視線を向けるとバチっと目が合った。
ドキドキと早鐘を打つ私の心臓は朝井さんにも聞こえていそうで怖い。
「…榎並と別れて、俺と付き合って」
私の手を握った朝井さんの手は熱い。そこから伝わる熱は不快的なものじゃなくて……
どこか安心感があった。
「…………」
……言葉が出ない。
「今、こんな事言うのは卑怯だってわかってるし、俺にこんな事言える資格ないのも…わかってる。でも俺なら、こんな風に彩音を傷つけたりしない」