【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤
「だから私…柾樹ともう一度向き合いたいんです。逃げてちゃダメなんです…」
「…そっか…強くなったんだね…」
朝井さんは私の頭を優しく撫で続けてくれる。
さわさわと吹く風は生温くて身体に纏わりつくんだけれど、どこか心地良い。
それは私の心のせいなのかもしれない。
「…怖いけど、どんな結果になっても、前に進むためにも、柾樹と向き合うんです」
そう言った瞬間だった。
「おいっ!!あんま走ると酔い廻るぞ」
聞き間違えるはずがない。
この閑散とした公園内に響くのは、私の恋い焦がれる柾樹の声だった。