【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤
「俺……ごめん」
そこまで聞いた彩音はバッと後ろを向き、手で顔を覆う。
その動作だけで、わかる。
…泣いている、と。
「最後まで聞けよ…」
彩音の腕を掴み自分の方に向けて
抱きしめた。
強く。
その感触で彩音を実感できる。
今俺の腕の中に彩音がいるのだと。
「ごめん…彩音…」
「…っ…」
そっと髪を掬い取り撫でる。
それだけで、満たされる。
それだけで、溢れる。
「俺、悔しかったんだ。偶然とはいえ彩音が俺じゃなく、朝井って奴に頼ってたのが。…嫉妬してた」
「…え?」
俯いていた顔を上げた彩音はきょとんとした顔をしていた。