【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤

バスの中ではほとんど美菜と悠士君と話していた。

柾樹はたまに私達の会話に入っては来たけどあとは寝ていた。





私達を乗せたバスは約2時間の道のりをかけて合宿場に到着した。


窓の外の景色そっちのけでお喋りに夢中だった私はバスから降りて感動した。
合宿場は海と山に囲まれた自然あふれる所だった。


「すっごーいッ!海めっちゃ綺麗!」


宿舎の後ろにある海は太陽の光を浴びてキラキラと輝いていた。
空と同じ色の海。




「てか何もないね…」

ちょっとがっかりしながら言う悠士君。


「ちょっとーここ圏外じゃん!」

携帯を見ながら嘆く美菜は更に「てか虫!!嫌!ここ虫いっぱいじゃん!」
…半ギレ状態だった。


………もうちょっと感動に浸らせて下さい。




「今からそれぞれ部屋に行って荷物を置いて15時にここに集合!それまでは自由時間だ!」

先生の解散の合図で皆それぞれ決められた部屋に移動した。



「彩音行くよ」

その言葉にはこんな所に1秒も長く居たくないって意味が含まれているようで美菜はスタスタと歩き出した。


私の泊まる部屋は8人部屋で
出席番号順に分けられてある。
美菜とは一緒の部屋だったので不安はなかったけれど。



「まだ集合時間まで1時間以上あるわよ。今からどうする?」
美菜が荷物を整理しながら言う。


「私ここの周り散策したい!」
ここがどんな場所なのか気になる私は美菜にそう提案した。


「…いいけど2人でいく?柾樹君は呼ばなくて良い?」

美菜は虫除けスプレーを撒き散らしニヤニヤしながら聞いてきた。


「…」


「…好きなの?」


押し黙る私に美菜がずいっと確信めいた瞳でにじり寄って来る。


「…この前柾樹が気になって中庭に様子を見に行った時、女の子が柾樹に抱きついてたの…
それを見たときすっごく嫌な気持ちになったの…」

私はあの日の出来事を美菜に話した。


「そっか…でも嫌な気持ちになったって事は…好きなんでしょう?」


―コクン―

私は静かに頷いた。


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