【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤
優しい人たち
柾樹side
「あの娘達の誰かを好きになったりしないでね…」
風呂から上がりジュースを買いながら俺は彩音のあの言葉を思い出していた。
「俺牛乳ー」
そう言って後ろから自販機のボタンを押したのは悠士。
「俺の金なんだけど」
「いいじゃんケチケチすんなよっ!」
ケチケチじゃねぇよ。
ギロリと睨みをお見舞いしてやると既に牛乳を飲んでいた悠士。
「なぁ…彩音ってさ…」
……………。
そこまで言って言うのをやめた。
「えっ!?何?」
悠士はまだ牛乳を飲んでいた。…口の周りが白くなってんぞ。
…ガキかてめーは。
「…何でもねぇ」
―俺の事好きなんだろうか?―
そんな事アホ丸出しの悠士に聞いてどうするつもりだったのか…
彩音の気持ちは自分で確かめる事にした。
「あっ集合時間まであと5分しかない!」
時計を見た悠士がそう言ったので髪も乾かさずに俺達は集合場所に行った。
髪から伝う雫は頬から顎まで流れて地面に落ちていた。