【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤
だから…
だから―
見つめ続ける彩音に優しく口付けをした。
「…行くぞ」
「あっ…うんッ!」
少し戸惑ったような声をあげた彩音の細い手を引っ張って大部屋へ向かう。
…その手はもう震えてはいなかったけれど伝わる体温は熱かった。
大部屋に着くと未だに繰り広げられているクイズ大会。
隅には不正解だった生徒が雑談しているようだ。
中央の方ではまだ正解者だった数十人がクイズを続けている。
「案外早かったのね」
俺達に気付いて近づいてきたのは美菜。
こいつ俺達の事見張ってんじゃねぇの?
それくらい直ぐに現れる美菜にあらぬ疑いをかけた俺は美菜をじっと見た。
そんな美菜は俺の視線になんか気付きもしないで後ろの彩音を見ていた。
彩音は少し下を向いて黙っている。
「…悠士は?」
そういえば、悠士がいない事に気付いた俺はは辺りを見渡した。
「悠士ならまだクイズやってるわよ」
美菜は親指を立てて大部屋の中央をさした。
そこには悠士がそれはそれは、楽しそーにクイズをしている姿があった。
…ガキ。