【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤
「やっぱ柾樹君モテるわね〜。」
美菜は周りの歓声を聞いて感心したように言ってはいるもののその光景をどこか冷めた瞳で眺めていた。
「…頑張んないとヤバいよね!?」
「んー でも柾樹君がこの歓声をあげてる女達と付き合う事はないと思う。私は彩音が一番柾樹君と親しい女の子だって思ってるよ?」
不安気な私に気付いたのか美菜はそう言ってくれたけれど果たしてそうだろうか…?
たまたま隣に住んでいるだけでその接点がなかったら、ただのクラスメイトとして過ごしていたんじゃないのか…
そう考えるとあの子達と私は何ら変わらない気さえした。
「…ありがと」
励ましてくれる美菜に合宿に来てから、何回目かわかんないお礼を言う。
そんなお母さんな彼女に抱きつこうとした時
「試合終了!1組決勝進出!!」
と言う声が聞こえた。
「あーぁ。ウチのクラス負けちゃったわね。残念ー」
ちっとも残念そうじゃない美菜の表情は早く終われと思っているようだった。
「だね…」
「あっちぃ〜」
試合を終えた柾樹は肩からタオルをぶら下げて私の横に腰を降ろす。
「おっ…お疲れ様」
意外に近い彼に私は少し緊張しながら言った。