LIMIT COMPLEX
言い寄ってた男達と囲んでた野次馬、

そして、並んでるファンクラブの連中がみんないっせいにあたしを見た。

リホちゃんだけが、ゆっくりと顔を上げ、

やっと来たって顔をする。


「ごめんね、遅くなっちゃって。」

「珍しいね。リョウちゃんが遅刻なんて。」


いえ、30分も前に着いてたんですけど。

俯いてたリホちゃんが、頬にかかる髪を耳にかけた。

あまりに優雅で一瞬言葉を失う。

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