びたーびたーちょこれーと。
ミスはするし、止まるしで散々だった。
「まだまだだな…」
酷すぎると長月に言われるかと身構えていた。
でもあいつは思いがけないことを言い放った。
「すげぇ感情が込められてるのがわかる。心に響くピアノだな」
長月はやんわりと笑った。
「ま、技術はまだまだだけどなーっ!」
「わ、わかってるわ!!」
あいつの耳はそうとう肥えてるらしい。
うちの気をつけた部分をしっかり感じ取ってくれた。
「水無月、去年に比べて一段と上手くなってる」
長月はうちの肩をポンと叩いた。