びたーびたーちょこれーと。
長月が楽譜を持っていた。
「あ、なんで…」
「さっき落としてたの拾って、眺めてたから」
「な、眺め…」
「書き込みが凄いなって思ってさ」
「う…」
長月から楽譜を受け取りながら、うちは俯いた。
初心者丸出しな書き込みを見られるなんて……!
「何がわからないの?」
長月が靴を履きながらうちに聞いた。
「あぁ、この3ページ目のリズムが取れなくて」
「えー簡単じゃーん…」
長月はあからさまに馬鹿にしたような目で私を見る。