びたーびたーちょこれーと。
「だってわからないもんはわからないんだもん…」
うちが俯くと、長月はうちの靴を出してくれた。
「じゃあ…教えてやろうか?
俺ん家、誰も居ないから」
「え……」
「ほら、早く靴履けよ。行くぞ」
長月が顔を赤らめながら、歩き出した。
「あ、待って…」
私は長月が出してくれた靴を履いて、後を追った。
私と長月が帰る方面は卓球部には他にいない。
2人きり、誰もいない道を歩く。
蝉の鳴き声だけが響く。
歩くだけで額に汗が滲む。
長月が隣に居るというだけで心臓が破裂しそうなんだけど。