びたーびたーちょこれーと。
「ね、長月のピアノ聞かせて?」
水無月が沈黙を破った。
「良いけど…何弾けばいい?」
「今弾けるもの!」
(そりゃそーだ)
と思いつつ、今年の自由曲が弾けるようになったから、水無月の前で弾いた。
やっぱ、カッコつけたくて本気で弾いた。
「……凄い…」
水無月は涙目だった。
「水無月…え!?」
「感動しちゃって…
長月のピアノのお陰で私、ピアノ頑張ろって思えたの
ありがとう、私にきっかけをくれて」
水無月の潤んだ目が澄んでいて、言葉に嘘はないんだなって思えた。