びたーびたーちょこれーと。
思わず腕を掴んだ。
(期待しちゃダメか……?)
「俺のこと、嫌い…?」
(違う!好きって聞けよ…)
臆病な自分に腹立った。
師走の告白で悩んでる水無月を困らせたくなかった。
「違う…嫌いじゃないよ、長月も…長月のピアノも
ありがと…うちのピアノを褒めてくれたの、あんただけだったから嬉しかった」
「うち、師走とは付き合わないよ」
水無月は笑顔で言った。
その言葉に、俺は気持ちが定まった。
まるで、鍵がピッタリ当て嵌まったみたいに。
思わず手の力が緩み、その隙に水無月は腕を振り払って走った。
「水無月ーっ!!!」
俺が叫ぶと、水無月は足を止めた。