雪中恋心

相方

出会って数ヶ月経っていたが、私たちは相変わらずふたりだけのコラボ放送も繰り返していた。

そして放送中だろうとプライベートだろうと、彼に冗談で下ネタを振ると、いつも聞き返された。


『……って、何?』

「…え?」

『どういう意味?』

「あ…うん、いいのよ、知らなくて。」

『うん…?』


何も知らなかった。
本当に何も知らなかった。

冗談で話す内容だけでなく、保健体育で扱うような基本的なこともあまり知っていなかった。


「けいくんって…社会人だよね…?」

『うん。なんで?』

「そんなに無知で大丈夫なの?」

『わ、悪かったな!別に、そんな知識いらないもん』


普段は素直に、自分の間違いや知らないことには素直で、すぐに謝る。
しかし、このことに関しては知らないことが恥だというように、「し、知ってるよ!」というのだ。
しかし追求すると、このパターン。



「いらないもんって…。困らない?無知なままやっていい行為じゃないし……」

『…今までしたこともないし、今後する予定もありません。』

「…未経験なのね」

『ど、どうせ童貞だよ!!悪かったな!!』

「あははっ」










笑いながら、ふと思った。




──私は処女じゃないんだな。











「あはは、あは……」

『なんだよ?』

「…、綺麗なままが一番だよ。大切な人が出来るまで、そのままでいてね。」

『……童貞だってバカにしてる?』

「ふふっ、そんなんじゃない、……けど、どうだろうね?」

『もう…絶対バカにしてんだろ!』





誤魔化してからかうと、そう言って拗ねてしまった。







バカになんかしないよ。




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