雪中恋心
大人になるまで不必要な知識で、不必要な経験。

知識があったから、間違いは起こらなかった。
でも、それでも知識があったから、私は元彼を嫌いになってしまった。
あんなに優しくて、幸せな時間をくれた人だったのに。



…いや、そのことはもういい。

そんなことより。


「て、あれ?彼女、作んないの?」

『うん。ていうか、よく分かんないんだよね。恋愛とか。』

「…私もよく分かんないかな。」

『そうなの?あいって彼氏いたんじゃなかったっけ?』

「そうなんだけど…わかんなくなっちゃった。恋人同士の好きとか、そういうの。」

『ふーん……そうなんだ。』

「でもけいくんは好きよ?」

『えへへー、僕もあい好きー!』



彼と私は、お互いに「相方」という関係を認め、放送を繰り返していた。

友達ではなく、親友でもなく。

相方。

そしてお互いが、お互いに特別な存在だと思っていた。


そう、特別。

恋人ではないが、特別な人なのだ。


いつしか、「好き」と言えるようになっていた。








その意味は、分からないまま。





友情?



愛情?







分からないまま。

ただ、特別で、大切で、大好き。

それだけ。






それだけ、だよね。

< 11 / 12 >

この作品をシェア

pagetop