雪中恋心
初めての彼氏だった。
恋愛のいろはも知らないまま、「一目惚れをした」と告白してきた一つ年上の彼を受け入れた。
彼も初恋だったらしい。
最初の一ヶ月は毎日幸せだった。
毎日のように一緒に桜並木を下校。
バイク通学の彼は、徒歩通学である私にあわせて、バイクを押しながら私の家の近くまで送ってくれた。
シングルマザーの私は、厳しい祖父母に宝物のように育てられてきた。
そんな私が、男女交際をしているとバレれば修羅場になるのは分かりきっている。
だから自宅まで送ってもらうことはできなかった。
田舎なので、近くに遊ぶようなところはないし、私は移動手段もないので休日デートもできない。
それでも、幸せで。
彼との時間が何よりも大切だった。
ところが、バイクの免許を取得して、平日でも休日でも彼の家に遊びに行くのが習慣になった頃。
いつしか私たちは、毎日のように性行為をするようになった。
最初は、特別であることを実感できるこの行為に、幸せだと感じれた。
しかし、回数を重ねれば重ねるほど、疑問だけが増していった。
私が「女」だから、彼女でいられるのかな。
身体だけが目的なの?
その不安をぶつけるたびに、彼は優しくキスをするのだった。
「好きだからだよ」と。
「もう、嫌いなんです…!!
あなたが、嫌いなんです……!!!」
それでも、私はもう
彼を拒絶することしかできなくなっていた。