遠ざかる風景。
 確かに少女は、4年前の「あの朝の少女」だった。
 だが、目の前でにこやかに話す少女の雰囲気はどこか不自然で、微妙に違う。昨日の朝も感じたことだが、どう見ても、この少女、やっと高校に馴染んだ風にしか見えない。僕の知っている「あの朝の少女」は、もっと高校生らしかった。
 やはり、この少女の時間は、僕の眼から見て明らかに止まっていた。
 まともに考えたのではどうにかなってしまいそうだった。すると少女が言った。
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