少しの音
しばらく歩いて着いた場所は何だか暗くてドームになってる。
最初、映画館と間違えそうになったけど違った。
「前じゃなくて、上見てみ」
真っ暗で何も見えない。
少しすると不安が一気に感動となった。
「わぁ、満天の星…」
「綺麗だろ?」
「うん、すごく綺麗です…」
どうしよう涙がでてしまいそう。
「ここは児童施設が土日だけ運営してて、入るのも見るのもタダなんだ。動かしてるのはボランティアの人だったり施設の人だったり様々だけどね」
「へぇ…なんか素敵ですね。」
本当に素敵。
私には想像もつかなかった。
土日なんて遊んでるか家で寝てるか…
そんなことしてる私をよそに、こんな素敵な仕事をしている人がいるなんて…
私がどれだけちっぽけなのか思い知らされてしまった。
「ねぇ、ありがとう…」
「ん」
一言だけ言葉を交わして私は泣いてしまった。
瞬くんはその間ずっと
肩に腕を回して私の頭を自分の方に寄せ撫でていてくれた。