君がいたから

明日の着替えはここから近いショッピングモールで買って、駅前のビジネスホテルに泊まろう。

家まで、気力が持たない。

一人暮らしの身には贅沢(ぜいたく)過ぎる選択かもしれないけど、たまにはいいよね。



「ん……?」

服を買って、いつもは通り過ぎる駅前のビジネスホテルの前に来ると、今まで見たことのない建物があるのに気付いた。

それは、ビジネスホテルの裏にひっそりと存在しており、

まるでヘアサロンのように可愛いらしい、白を基調とした小さな一階建ての建物で、

広さも、私が住むアパートよりも狭いんじゃないかというくらいだ。

「癒し屋……?」

その建物の出入口の上には、ポップな丸文字で《癒し屋》と書かれた看板が設置されていた。

< 10 / 37 >

この作品をシェア

pagetop