君がいたから
お金を払うレジも、靴を置く下駄箱も、何もない。
「ま、いっか……」
こんなありえない状況。
いつもなら絶対警戒するのに、今の私にはそこまで考える力は残っていなかった。
お風呂のこととか料金の払い方とか店員がいないとか、知りたいことはたくさんあるけど、それは後で考えよう。
今はとにかく眠りたい。
荷物を全部その場に降ろし、太陽の匂いが漂うベッドに思いっきり体を沈めた。
すごく気持ちがいい。
なにこのベッド。
やばい。
もう無理。
これで「寝るな」なんて言う店員は無視しよう。
めちゃくちゃな言葉を頭の中に並べつつ、私はそのまま瞳を閉じた……。