君がいたから
その子はもぞもぞとベッドの中で動きながら、
「もう起きたの?
疲れとれた?」
と、眠そうな声で尋ねてきた。
シーツにうもれているせいで、彼の顔は見えない。
「は、はい。もう大丈夫ですっ。
すみません、勝手に寝ちゃって……。眠いの我慢できなくて。
あの、お金は払いますんでっ」
とりあえず、こんなところに知らない異性と二人きりでいるのはまずいよね。
私は、床に置きっぱなしになっていたカバンから財布を取り出した。
「お金はいらない。
気も使わなくていいから、こっちにおいでよ」
「はい?」
一瞬、何を言われたのか理解できなかった。