君がいたから

動くことが出来ずに突っ立ったままでいると、彼はゆっくり上体を起こし、こちらに顔を向けた。

わわわ! なんつー美少年。

幼い顔をしているけど、ジャ○ーズにいそうなタイプだ。


そんな凛々しいまなざしで見つめないでほしい。恥ずかしいから。


でも、彼が身につけている衣服は、お世辞にもオシャレとは言えない。

こんなこと思うのは失礼かもしれないけど、おいはぎにでもあったのかと言いたくなるほど、みすぼらしい格好をしている。

薄汚れた緑の布を体に巻き付けているだけなのでは?

あらわになった鎖骨や程よく筋肉がついた腕がたくましくてセクシーすぎる!でなくて。


この人、どこかがおかしい。


だいたいなんで知らない女が寝てるベッドに潜り込んでくるわけ?

ははーん。わかった。

きっと、住む家に困ってるんだな。なるほどね。

それなら私は早いところ退散しよう。

というか、これ以上関わったらややこしいことになる気がする。
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