君がいたから
「そんなことよりさ、僕、ミノリちゃんの話がききたい!」
「私の?」
スズメ君は私のことを知ってるみたいだけど、
私からしたらスズメ君とは初対面も同然なのに、何を話せばいいのだろう。
言葉のキャッチボールができるほど、お互いの情報を知らないではないか。
「なんでもいいんだ。
グチでも、悩み事でも、ぶっちゃけちゃいなよ」
そう言うスズメ君の口調があまりにも優しくて、私は毒気を抜かれてしまった。
正体、職業、住所、あらゆるものが不明のスズメ君と、もう少しだけ一緒にいてもいいかなと思えた。
「ミノリちゃん、仕事頑張ってるもんね。
ストレスもあるんじゃないかな?って、思ってさ」
それは、ずっとずっと、待ってた言葉だった。