君がいたから
私は魔法のベールに引き寄せられるかのように、スズメ君が座るベッドに腰かけた。
スズメ君は、私の横にくる。
その時一瞬、森林のような香りがして、忘れかけていた何かを思い出しそうになった。
それは、ふわふわと、
まだ知らない自分の中の自分につき動かされるような感覚で……。
気付くと私は、会社でのグチや不満をスズメ君に語っていた。
スズメ君は嫌な顔一つせず、うんうんと、あいづちを打ってくれる。
私の口は休むことを忘れ、体の中にたまったいろいろな物を言葉にしていく。
最初は、上司にひいきされることで周囲に感じる気まずさや、
寝る間も惜(お)しんで仕事を頑張っていることのストレス、
女子社員達に嫌われて嫌な思いをしているといった、不平不満ばかり語っていた。