君がいたから
でも、それは次第に色を変えていった。
「本当は、みんなと仲良くしたい。
嫌われたくないし、嫉妬もされたくない。
そんなの無理って分かってるけど。……会社はそういうところなんだって……。
みんな仲良くしているように見えて、心の中ではライバル視してる。
課長はいつも、部長の顔色うかがってて……。
本当の意味で友達になれる人なんて、あそこには一人もいやしないんだと思う。
でも……! ただ、楽しく仕事したかった。みんなの役に立ちたかった。
少しでも、私の力が世の中のためになればいいって、そう思ってただけなのに」
『仕事できるからって、気取ってるよね』
『ちょっといい大学出てるからって、調子に乗りすぎ』
『部長とかの前で猫かぶり過ぎなんだよねー。ほんとは課長と不倫でもしてるんじゃないの?』
毎日のように給湯室から聞こえる私への陰口が、頭からこびりついて離れなかった。
たくさん眠って疲れは取れたはずなのに、急に頭痛に襲われる。
憂鬱(ゆううつ)だな。
体の疲れは取れても、心に刺さった痛みまでは取れていない。