君がいたから

でも、それは次第に色を変えていった。


「本当は、みんなと仲良くしたい。

嫌われたくないし、嫉妬もされたくない。

そんなの無理って分かってるけど。……会社はそういうところなんだって……。

みんな仲良くしているように見えて、心の中ではライバル視してる。

課長はいつも、部長の顔色うかがってて……。


本当の意味で友達になれる人なんて、あそこには一人もいやしないんだと思う。


でも……! ただ、楽しく仕事したかった。みんなの役に立ちたかった。

少しでも、私の力が世の中のためになればいいって、そう思ってただけなのに」


『仕事できるからって、気取ってるよね』

『ちょっといい大学出てるからって、調子に乗りすぎ』

『部長とかの前で猫かぶり過ぎなんだよねー。ほんとは課長と不倫でもしてるんじゃないの?』

毎日のように給湯室から聞こえる私への陰口が、頭からこびりついて離れなかった。

たくさん眠って疲れは取れたはずなのに、急に頭痛に襲われる。


憂鬱(ゆううつ)だな。

体の疲れは取れても、心に刺さった痛みまでは取れていない。

< 21 / 37 >

この作品をシェア

pagetop