君がいたから
「ミノリは、優しいもんな。
だから、そうやっていろんなこと深く考えちゃうんだよな」
スズメ君の優しく落ち着いた声と同時に、私の体はあたたかいものに包まれる。
「スズメ君……!」
スズメ君が、私の体を抱きしめている。
「ミノリは、頑張ってるよな。
そういうの、絶対、どこかで誰かが見てるから。
ミノリはミノリらしくいればいい。
無理に周りに合わせる必要なんてない。
ミノリには、ミノリのいい所がいっぱいあるんだから。ね?」
「スズメ君……」
ちょっと変わった格好をしてるし、まるで義務教育を放棄しているような雰囲気の少年なのに、
私はスズメ君の腕の中ですごく安らげていた。
自分で「私は頑張ってるぞ!」なんて、おこがましくて言えなかった。
でも、やっぱり誰かに認めてもらいたかった。
こうして優しく、抱きしめてほしかった。