君がいたから
日常の嫌なこと全てを吸い取ってくれそうな、なつかしい空気が漂う。
スズメ君は、私を抱きしめながら、
「無理するなよ。たまには立ち止まってさ。
つらかったら、がんばらなくていい。
無理に楽しもうとしなくていい。
できないことはできないって言ったらいい。
気持ちのままに動いて誰かに迷惑をかけることがあってもいいじゃん。
誰に何と言われても、ミノリの価値は変わらない。
ミノリは僕の、大切な人だから。
ずっとずっと……」
「……スズメ君、ありがとう。
なんかね、元気出たかも。
ありがとう……」
スズメ君とは、一夜限りの出会いかもしれない。
でも、出会えてよかった。
スズメ君のおかげで、私の中の何かが変わった気がする。
ヒビが入ってグラグラしている土壁のようだった私の心は、すごく楽になって。
青空を胸いっぱい吸ったように穏やかで清々しい気分だった。