君がいたから
「ミノリ、眠る?
明日の仕事には間に合うように起こしてあげるから」
「うん……」
私は素直に、スズメ君がいるベッドに入った。
「知らない異性と一緒に寝たくない」という、さっきまでの抵抗感は全くなくて。
まるで、ずっと付き合ってきた恋人同士のように、私達は抱きしめ合いながら眠った。
とても居心地がよくて、心が満たされる。
私、寂しかったのかもしれない。
気を許せる場所が一つもなくて、周りが全員敵に見えていたのかもしれない。
みんなに愛想良く振る舞いながら、実は社内の誰にも気を許してなかったのかもしれない。
明日からは少し、笑顔の回数を増やしてみようかな?
全部一人で抱えずに、つらい時は誰かに頼ってみようかな?
目を閉じると、スズメ君の小さな息遣いが聞こえる。
スズメ君の腕の中はすごく柔らかくて、あたたかくて、まるで羽毛に包まれているような感じがした。
小鳥の赤ちゃんは、親鳥のお腹でこんな思いをしているのかもしれないね。
なんて考えながら、再びまどろみの時を迎えた。