君がいたから
……チュンチュン、チチチ……。
翌朝。
外にいる小鳥の鳴き声で目が覚めた私は、目に映る天井を見上げてガバッと上体を起こした。
「あれ……?
癒し屋は?」
ここは、私が昨夜身を預けた白いシーツのベッドではなく、いつも寝ている自室のベッドだった。
見慣れたオレンジ色のギンガムチェック模様を目に入れてから周りを見回す。
「スズメ君……」
昨夜、抱きしめあって一緒に眠ったはずのスズメ君の姿はどこにもない。
洗い物がたまった台所のシンク。
数冊の雑誌が無造作に置かれている、ガラス製のテーブル。
化粧品とヘアケア剤がたくさん並んだドレッサー。
紛れもなく、ここは毎日私が生活しているアパートの部屋の中だった。
いつ帰ってきたのか分からないけど、
お風呂にも入ったようで髪からはいい匂いがするし、メイクが綺麗に落とされている。
昨日、ホテルに泊まるために買った服はどこにもない。
いつもの朝。
そのはずなのに、今こうしていることが信じられなかった。
「うそ……」