君がいたから
最近、朝のこの時間がいつも嫌だった。
今日一日のことをシミュレーションして気が重くなるだけだったから……。
でも今日は、すごく希望に満ちた気持ちだよ。
スズメ君のおかげかな?
洗面台で蛇口をひねり、鏡を見て驚いた。
「これ……!」
私の頭には、緑色の布で作られた細めのカチューシャがついていた。
フチには可愛いリボンがあしらわれている。
「緑……?」
それをむしるように外し、まじまじと見つめる。
内側に、白い文字が刻まれているのが見えた。
《ミノリ、昔、僕のこと助けてくれてありがとう。
ミノリがいなかったら、僕は生きていられなかった。
ずっと、空から見てる。
ミノリ、大好きだよ》
「空……?
私がスズメ君を助けた……?」