君がいたから

涙が出てくる。

もう、別れなきゃいけないんだね。

せっかくまた会えたのに。


でも、仕方がないことだよね。

こうして再会できたことを、喜ばなきゃ。


「ありがとう……。

どうしてこんなことが起きてるのか分からないけど、すごく嬉しかったよ。

スズメ君が昨日会いに来てくれたおかげで、仕事まだまだがんばれると思う。

つらくなったら、スズメ君がくれた言葉を思い出すね」

「チュンチュン!」

スズメ君は、まるで何かを断ち切るようにファサッと飛び立つ。

その姿はあっという間に雲の彼方に消えてしまったけれど、カチューシャは私の手の中に残ったままだった。


「スズメ君、ありがとう」

< 32 / 37 >

この作品をシェア

pagetop