君がいたから

まるで夢のような、映画の中の人物になったかのような体験だったけど、

髪の間にのぞくカチューシャを見るたびに、それはたしかな現実だったのだと知る。


スズメ君が飛び立った日から毎日、私はそのカチューシャをつけて出勤するようになった。

そしたら、一度も話したことがなかった同僚の女の子が、「そのカチューシャ可愛いね」って話しかけてくれて。


まだまだ私を嫌う人はいるけれど、近頃では味方もいるのだと感じる。

ちょっとだけ、以前と違う日常。

ギスギスした雰囲気ばかりではなく、あたたかい気持ちに触れられる瞬間がある。


スズメ君に会った日から、私の中で何かが吹っ切れたみたい。

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