君がいたから
朱雀は高校の時も、こうして頭の後ろに手をやるクセがあった。
そういうのって、何年たっても直らないものなんだな、とか思っていると、
朱雀らしくない真面目な顔を向けてきた。
「……卒業式の日告白できなくて、ずっと後悔してた。
卒業してから、彼女できたりもしたけど、ミノリのことがずっと忘れられなかった……」
朱雀(すざく)がまさか、そんな風に思っててくれたなんて……。
「ウチの会社忙しいから、彼氏作ってる余裕はないんだ……」
「分かってる。俺も働いてるし。
……友達みたいな関係から、はじめたい。
ミノリと、これからももっと、こうして会いたい……。
今日、これっきりで終わらせたくない。
ダメ……?」
朱雀の目が真剣すぎて、鼓動が高鳴るよ。
久しぶりの気持ち。
これから朱雀とどうなるのかは分からないけれど。
ねぇ、スズメ君。
これもあなたが与えてくれた、私へのプレゼントなのかな……?
私がこれから、あなたがくれたぬくもりを思い出して寂しくならないようにって、私と朱雀を引き合わせてくれたのかな?
【完】