君がいたから

みんなみんな、うらやましい。

楽しそうだな。
幸せそうだな。


今の私には、何もない。


同じ日本に生きてる人々だとは思えないほど、どの人の顔も輝いている。


私と同じ歳くらいの男の人が、路上でギターを片手に歌を歌っていたり、

集団の男子大学生達が大声で笑い合いながら軽い足取りで歩いている。

この頃の私はどうだったかな?

あんなに笑っていたかな。

楽しめていたかな。


そうやって振り返った時、心がからっぽになった気がした。


むしょうに寂しい。
むなしい。
何かが足りない。


通りにある建物のガラス窓に目をやった。

大きな仕事も任せられるようになって、会社のホープとさえ言われている私の顔は、えらく疲れていた。

仕事だけは楽しんでいたはずなのに、なんで私こんな顔してるんだろ……。

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