好きって言って!(短編)
好きって言って!
「イった?」

私の上で淳也が聞く。

「残念でした。
イくか、ヘタクソ」

べーっと舌を出して悪態づく可愛げのない私に、淳也は口を尖らせる。

あーあ、私って本当にバカ。

本当は気持ち良かったくせに。

「そーかよ」

淳也はムスッとして背を向けると、ベッドに腰掛けて手早く服を身につけていく。

そんなに急いで着なくってもいいのに。

私はぽやんと淳也の背中を見つめる。

高校までバスケ部に入ってた淳也の上半身は、程よく筋肉がついててセクシー。

今まであの身体に抱きしめられたんだと思うだけで、私の身体はまた熱くなってくる。

淳也はそのまま冷蔵庫に向かうと、中からペットボトルのコーラを取り出した。

淳也のエッチ後の決まりごと。

炭酸のしゅわしゅわ弾ける感じが、心地好い疲労感に丁度いいんだって。

「私にもちょーだい」

「…お前さ、少しは恥じらいってもんはないの?」

下半身は何とかシーツで隠れているものの、上半身は裸のままの私を見て、ため息をつきながら淳也はコーラを手渡した。

「何を今さら。
散々突っ込んだくせに」

私はコーラを口に含むと、彼から顔を背けた。


私と淳也は恋人じゃない。
いわゆる、カラダだけの関係ってやつだ。
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