好きって言って!(短編)
目を覚ますと、隣で淳也が寝息をたてていた。

私も淳也も何も身に付けてなかったから、そのまま二人とも眠りこけてしまったみたい。

いつもより激しかったもんね…。

さっきのエッチを思い出した瞬間、自分の顔が真っ赤になったのが分かり、慌てて両手で顔を覆う。

淳也もだけど、私も結構大胆だった…よね。

淳也が目を覚ましたら、どんな顔して会えばいいんだろ…。

ほてった頬に触れていると、喉がカラカラなことに気付いた。

私はシーツを体に巻き付けてキッチンに向かう。

冷蔵庫を開けて、何となくいつもの癖でコーラを取り出し、ベッドに戻った。

ペットボトルの蓋を回すと、

プシュ!

思ってた以上に大きい音が鳴り、淳也が動いた。

しまった、起こしちゃったかな。

そう思って淳也を覗き込んだけど、起き上がる様子はなく、どうやら寝返りしただけみたい。

起きなくて良かった。

ホッとしながらベッドのすぐ脇に腰を下ろすと、淳也の寝顔を見つめながらコーラを一口飲んだ。

いつもと違う、あどけない淳也の頬に、私は思わず口づけていた。

自分でも驚いた。

だけど今だけなら。

寝てる間だけならいいよね。

淳也が目を覚ましたら、いつも通りの関係に戻るから。

だからお願い。

今だけ、淳也の彼女気分でいさせて。

「好きだよ、淳也…」

私はもう一度淳也に口づけた。
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