好きって言って!(短編)
立っていたのは淳也だった。
「何で…」
こんなところに?
私がそう言いかけたとき、
「酔った女ホテル連れ込むなんて、格好悪いことしてんじゃねぇよ!」
淳也の右の拳が崇先輩の顔にヒットした。
衝撃で地面に倒れ込んだ先輩を尻目に、淳也は呆気にとられた私の腕を強引に引いて歩き出す。
「ちょっと待って…」
私の言葉も聞く耳を持たない。
「淳也、待ってってば!
殴ったこと、謝らなきゃ!」
「お前、無理矢理ホテル連れ込もうとした男を庇うのかよ!」
え?
「ちょっと待って。
誤解だよ。
先輩は、私を介抱してくれただけで…」
「飲めないやつに無理矢理飲ませて、何が介抱だよ。
お前だってガキじゃないんだから、相手に下心があるくらい分かんだろ?」
えええ?
何か、だいぶ事実と違う。
「誤解だよ!
私が勝手にウーロン茶と間違えてウーロンハイ飲んだの」
「―――え?」
淳也が急に立ち止まったもんだから、足元の覚束ない私は、その場に尻餅をついてしまう。
さっきの私みたいに、今度は淳也が目を丸くしていた。
「あいつが酒飲むように強引に迫ったんじゃねぇの?」
私はふるふると首を横に振る。
「お前酔わせて、お持ち帰りしようとしてたんじゃねぇの?」
…うーん。
本当はちょっとそんな流れになりかけたけど。
でもニュアンスが違うから、もう一度首を振った。
「マジかよ!」
淳也は、チカちゃんにはめられた、と小さくつぶやいた。
「何で…」
こんなところに?
私がそう言いかけたとき、
「酔った女ホテル連れ込むなんて、格好悪いことしてんじゃねぇよ!」
淳也の右の拳が崇先輩の顔にヒットした。
衝撃で地面に倒れ込んだ先輩を尻目に、淳也は呆気にとられた私の腕を強引に引いて歩き出す。
「ちょっと待って…」
私の言葉も聞く耳を持たない。
「淳也、待ってってば!
殴ったこと、謝らなきゃ!」
「お前、無理矢理ホテル連れ込もうとした男を庇うのかよ!」
え?
「ちょっと待って。
誤解だよ。
先輩は、私を介抱してくれただけで…」
「飲めないやつに無理矢理飲ませて、何が介抱だよ。
お前だってガキじゃないんだから、相手に下心があるくらい分かんだろ?」
えええ?
何か、だいぶ事実と違う。
「誤解だよ!
私が勝手にウーロン茶と間違えてウーロンハイ飲んだの」
「―――え?」
淳也が急に立ち止まったもんだから、足元の覚束ない私は、その場に尻餅をついてしまう。
さっきの私みたいに、今度は淳也が目を丸くしていた。
「あいつが酒飲むように強引に迫ったんじゃねぇの?」
私はふるふると首を横に振る。
「お前酔わせて、お持ち帰りしようとしてたんじゃねぇの?」
…うーん。
本当はちょっとそんな流れになりかけたけど。
でもニュアンスが違うから、もう一度首を振った。
「マジかよ!」
淳也は、チカちゃんにはめられた、と小さくつぶやいた。