《短編》いじめないで! Don't bully the weak

「あっ、ああっ、これはっ!」

そこに現れたのはまだ完全な形にはなっていなかったけど、間違いなく森で食べたあの果物だったの。

「駄目っ。ゴボッ、全部出たらゴボボッ、ゲボッ。私……死んじゃう」

死を意識すると、今まで生きてきた軌跡が頭の中に湧いて出ては消えてゆく。

「いじめられるようになるまでは、ゴフッ。私の人生も悪くなかった、ゲフッ」

楽しかった幼少の頃の思い出がよみがえる。笑顔の絶えなかった父との生活、慎ましくも幸せだった家族の思い出。

仲良しだった友達と帰った通学路。みんなで好きな男子を告白し合ったあの日。




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