《短編》いじめないで! Don't bully the weak
─ヂ
「今日も来てしまった」
校門の前に佇む私。
白い足型の残った、濃紺のスカートのすそをヒラリとつむじ風が揺らしていく。
擦り傷の絶えない膝小僧がチラリと顔を覗かせた。
どこへともなく放り出した視線の中に、私の落とした影が写り込む。
それは蒼く、くすんだ色をしていて、周りにあるどんな影よりも薄く見えるのは、ただの思い過ごしだろうか。
行き過ぎる生徒達の時間からは明らかに取り残された私の時間(トキ)。
それは私の腕に刻まれた傷痕のように、そしてまたゆっくりと私を苛むように、規則的に進んでいく。
いつも私は、まるで生産ラインの上を進む製品さながら、こうして学校に辿り着いてしまう。