《短編》いじめないで! Don't bully the weak

「ここはどこ? 死後の世界?」

月明かりを頼りに慌てて周りを見回したけど、そこは校舎裏の排水槽の上でしかなかった。

私は死んでなかったの。

「そんな……馬鹿な」

私は頭を触ってみた。グチャグチャと血糊が貼り付いていたけれど、頭蓋骨に傷は無かった。

「ひ、ひぃぃっ、……イタッ」

思わず駆け出すと、自分から出た血液に足を取られ、派手に尻餅をついてしまった。

自分の身体を見回すと、全身が血まみれになっていたの。

「これじゃ家に帰れない」

そう思った私はプールの外に併設されているシャワー室に入って、全身の血を洗い流した。

でも制服にもワイシャツにも黒くこびりついて取れない。

それで考えた私は、鍵が壊れている旧校舎との渡り廊下から忍び込んで、新入生用の制服見本をマネキンから剥ぎ取って着替えたの。




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