一途愛
髪型が気になってすっかり遅くなってしまった。

「遅刻だよ~~~。」

今日は伊織さんに言われたように
耳下で二つに束ねて上の髪の毛を クシャって
一回だけ握って見た。


いい匂い…
今まで こんなことにも気なんか配らなくて
ママが洗濯してくれるワイシャツからする
柔軟剤の匂いくらい。

絶対みんなが私の外見を攻撃してくるのは覚悟した。


「あら ちょっと姫
すっごく可愛いわよ。」ママが驚いていた。

「そう?大丈夫?ホントに?」

「なんか…今までの姫とは違う感じがするわ。」

「へへへ…。」思わず照れ笑い。

「やっぱり…あのイケメン?
もしかしたら…。」ママの質問にもにやけてしまった。


「すっご~~い姫~~。
あんなイケメンどうしたの~~。」

ママも嬉しそうだった。

「帰ってきたら…教えてあげるから。
じゃあ大丈夫ね?可愛い?」

「うん パパが見たら泣くわ。」



学校にはぎりぎり玄関を入った。
階段を登っている時に

「つきあってほしいの。」と声がした。

「断ったよな。俺。」

龍の冷たい声だった。
私は思わずその場に立ち止まった。
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